やりがいのあるアットホームな仕事です
防衛大学校の受験シーズンなのでこの時期は防衛大学校の概要的なことを紹介していきます。
ただ私はもう防衛大学校の学生ではないので”防大に入ろう!”なんて
私のスタンスは、
”防衛大学校の現実を知ってもらい、それでも防衛大学校に進む人に必要な情報を与える”
ということです。
これは私がこのブログを始めた理由であり、私からの未来の防大生へのメッセージです。
私は今後もこのスタンスでこのブログを続けていきます。
閑話休題。元の話題に戻ります。
防衛大学校の魅力の一つに”学費タダで給料も出る”というものがあります。
確かに防衛大学校のメリットとしては学費タダの上給料も出るということもありますが、実際にはより多くの利点があります。
しかしそれらの厚遇の裏には巧妙に隠された罠があることがあります。
今回はそんな防衛大学校学生の待遇について解説します。
なお、今回の記事では一部虫についての記述があるので苦手な方は頑張って読んでください。
今回の記事はいつもよりは闇成分が薄いです。
目次
- 防衛大学校の待遇の概要
- 受験料・入学金・学費などの費用がすべてタダ
- 制服支給
- 食費・電気代など寮生活でかかる経費がタダ
- 学生の身分でありながら給料とボーナスが支給
- 破格の値段の生命・傷害保険
- 防大内の病院(医務室)と全国の自衛隊病院がタダで利用可能
- 防大生限定の割引適用
- タダで留学に行ける
防衛大学校の待遇の概要
最初に防衛大学校学生の待遇の概要について解説していきます。
防衛大学校公式サイトの学生の身分・待遇(https://www.mod.go.jp/nda/cadetlife/status.html)によると、
全員学生舎に居住し、被服、寝具、食事などが貸与又は支給されるほか、毎月学生手当(令和3年12月現在:117,000円)が支給されます。
また、6月、12月には期末手当(いわゆるボーナス、令和3年度実績:年391,950円)が支給されます。
https://www.mod.go.jp/nda/cadetlife/status.html より引用
とされています。
ここでは学生の給料についてのみ言及されていますが、防衛大学校学生にはこの他に次の8つの待遇があります。
これらの待遇をすべてまとめると、以下の8つの厚遇があります。
①受験料・入学金・学費などの費用がすべてタダ
②制服支給
③食費・電気代など寮生活でかかる経費がタダ
④学生の身分でありながら給料とボーナスが支給
⑤破格の値段の生命・傷害保険
⑥防大内の病院(医務室)と全国の自衛隊病院がタダで利用可能
⑦防大生限定の割引適用
⑧タダで留学に行ける
...などなど、主に金銭面で多くのメリットがあります。
これらのメリットは大体は防大公式サイト以外には載っているのですが、公式サイトには載っていません。
これらのメリットも書けば防大志望の学生も増えると思うのですがなぜ公表しないのでしょうか?
「金銭につられる学生はいらん!」って奇麗事でもぬかすんでしょうかね
次の章からはそれぞれの利点について細かい解説とある場合はその裏について解説していきます。
①受験料・入学金・学費などの費用がすべてタダ
最初に解説するのは、”受験料・入学金・学費などの費用がすべてタダ”という点です。
前回の『防衛大学校の入学試験の闇』でも一部述べましたが、防衛大学校への受験には受験料が必要ありません。
その上入学にも入学金も必要でなく、さらに普通なら毎年払うべき学費も必要ありません。
これは本当にに大きなメリットで、防大生の親は国公立なら250万円、私立であれば500万円もの金銭負担を抑えることができ、学生も奨学金という負担を背負う必要がないのです。
これに関しては裏が無い純粋な厚遇なので次の章に移ります。
②制服支給
次に紹介するのは、”制服支給”という点です。
防衛大学校学生には、常装一着・第一種夏服一着・第二種夏服二着・校内服二着・作業服二着・各種迷彩服など、校内での生活に必要な制服がすべてタダで支給されます。
タダでもらえるのは制服だけでなく、それらを着るためのベルトや帽子、靴や鞄なども支給されます。
そのため学生が準備する必要があるのは下着と運動着のみです。
しかし私服支給には防大のみならず自衛隊全体にある闇があります。
それは"貸与される服の多くが先代からの中古品である"という点と”被服の交換難易度が高い”という点です。
防衛大学校で支給される多くの制服は、昔の卒業生(大体4,5期上)が着ていた中古品です。
支給される服が中古品というのはバイトなどでもよくあることだと思うのですが、自衛隊の中古品はそれを上回ります。
バイトなどではほぼ新品レベルの制服が支給されることが多いですが、防衛大学校ではボロボロの制服が渡されます。
勿論制服はクリーニング済みなので表面上は奇麗なのですが、裏地がボロボロだったりベルト通しが切れていたりします。
そんなボロボロの制服が来たら返品・交換をしたくなりますが、防大ではそれはほとんど認められません。
これが”被服の交換難易度が高い”という制服支給のもう一つの闇なのです。
防大では制服の着用に支障がある場合、被服交換を行うことができるのですが、被服交換を行うには申請が必要です。
被服交換の申請にも時間と手間がかかるのですが、被服交換の難易度を上げているのはこの点ではありません。
それは"被服交換は重大な損傷又はあまりにも小さくて着れない場合にのみ受理される"という点です。
被服交換が認められるのは制服が燃えて真っ黒になるレベルの修復不可能な損傷がある場合か、体が大きくなって制服が入らない場合にのみ受理されます。
そのためベルト通しが切れていたり、ボタンがとれているなどの軽微な損傷の場合は自分で修理する必要があります。
これらの闇により制服授与の際のサイズ測定には最新の注意を払う必要があります。
大きめの制服を選んでしまうと着こなしの難易度が上がり、防大生活の難易度が飛躍的に上がってしまうためです。
そのことを対番(企業でのメンター)もよくわかっているので、着校初日の時間がない中でもできるだけ時間をかけて制服のサイズ測定をします。
③食費・電気代など寮生活でかかる経費がタダ
次に紹介するのは”食費・電気代など寮生活でかかる経費がタダ”という点についてです。
防衛大学校に限らず、全国の大学や高等専門学校にはその大学の学生寮が設置されています。
それらの寮に入寮するのは任意であるのに対して、防衛大学校の学生は、学生寮である学生舎に住むことが義務付けられています。
通常、寮で生活するためには、寮費や水道光熱費、食堂での食事代など多くの費用が掛かりますが、学生舎ではこれらの費用がすべてかかりません。
つまり、タダで寮に住めるのです。
学生舎では、無料で毎日栄養豊富な食事をたくさん食べることができ、大浴場でゆっくりと体を休めることができます。
さらにシーツは毎週交換され、常に清潔な状態で生活することができます。
これらの無料の裏には”タダほど高いものはない”を体現するような闇があります。
まず、学生舎は三浦半島先端の山頂にあり、非常に自然豊かです。
あまりに自然豊かなので、防衛大学校内には多くの生物が住んでいます。
デなどの虫はもちろん、リスやネズミなどの小動物、挙句の果てにはタヌキや猪など多くの生き物を防大内で見ることができます。
私も防大内で猪を見たときは驚きました。
特にびっくりするのはそれらの生き物の大きさで、防大の周りの自然や豊富な餌(生ゴミ)のおかげで蛾などは手のひらサイズにまで成長し、タヌキや猪も動物園で見るようなかわいい姿ではなく完全な獣の大きさになっています。
学生はそのような大自然(笑)に囲まれながら生活し、心身を鍛えていくのです。
また、一学年の学生舎での生活が壮絶なものであるのは今までの記事でも散々述べてきたのですが、学生が住む学生舎もなかなかなものになっています。
学生舎内は学校の校舎のような作りになっており、作り自体に特に問題はありません。
ですが学生舎内にあるエアコンが動くことがほぼないのです。
エアコンが仕事をすることがほぼないため、夏は暑さに耐え、冬は寒さに凍えながら日々の生活を送る必要があります。
上級生は私物の扇風機や毛布などを持ち込んでそれらに対応しているのですが、一学年はもちろんそんなものを使うことはできません。
さらに夏場はその暑さから窓を開けるのですが、窓を開けると前述した虫たちが大量に部屋に侵入してきます。
それらを外に追い出すのも一学年の仕事なのです。
さらにシーツは毎週交換されると書きましたが、毛布は一回も交換されることはありません。
そのため毛布には大量のダニが住み着いており、一晩寝ると体が大変なことになります。
これを防ぐために、毛布を使用する際には毛布と体の間にシーツを一枚挟んで寝る必要があります。
たまに土日に毛布を外干ししている学生がいるのですが、一学年はやらないほうがいいです。
理由は防衛大学校の立地にあります。
防衛大学校は三浦半島の先端の山頂にあるので、四方の内三方を海に囲まれています。
海に行ったことがある人ならわかると思うのですが、海沿いは風が非常に強いです。
そのため毛布の固定が甘いと簡単に飛んで行ってしまいます。
飛ばされるのが私物なら泣き寝入りすれば済むのですが、支給される毛布はもちろん官品です。
自衛隊関連のニュースでも時々話題になりますが、自衛隊は官品の管理が非常に厳格です。
下の記事のように、薬きょう一個でも落としたのなら全員で探し回るほどです。
そんな官品愛護の精神は防衛大学校にもあり、官品をなくした場合はその学生の所属する中隊(自分の住む階)の全員で探します。
上級生が官品を紛失した場合は服務事故となり捜索するほかには特に厳しい罰則等は無いのですが、一学年はそれに加えて上級生からクソシバかれるので大変です。
さらに一学年が服務事故を起こすと通称”ヘルウィーク”と呼ばれる更なる地獄が始まるので一学年の官品紛失はそのまま死につながります。
この理由から一学年が屋上に官品を干すことはオススメしません。
そのほかにも、一学年は飯を食べる時間や風呂に入る時間がほぼないことがあります。
それらについては、私の過去の記事を読んでください。
④学生の身分でありながら給料とボーナスが支給
四つ目に紹介するのは”学生の身分でありながら給料とボーナスが支給”という点です。
これは防大のメリットの中でも非常に有名なものの一つで、学生は働かずとも給料をもらうことができ、さらに年二回ボーナスをももらうことができます。
防衛大学校学生の給料は、公式サイトによると
毎月学生手当(令和3年12月現在:117,000円)が支給されます。
また、6月、12月には期末手当(いわゆるボーナス、令和3年度実績:年391,950円)が支給されます。
https://www.mod.go.jp/nda/cadetlife/status.html より引用
となり、単純計算で年収約180万円となっています。
これに加えて前述したとおり学費や学生舎での費用はすべてタダなので、学生は全額を自分のことに使うことができるのです。
この部分の闇は社会人ならわかると思うのですが、この額面通りの給料をもらうことができない点です。
防大を志望する学生に向けて伝えますが、通常、実際に振り込まれる給料は"手取り"と呼ばれ、給与から様々なものが控除されて私たちの口座に振り込まれます。
この控除項目には法定控除と法定外控除があり、法定控除は所得税や県民税、厚生年金保険料などがあり、法定外控除には財形貯蓄や施設利用費などがあります。
多くのブラック企業に当てはまる特徴として、法定外控除の額が異常に多いことがあります。
研修などで5万円とられることや、某派遣企業のようにデータ装備費という名目で毎月徴収される謎の費用などがあります。
防衛大学校ではそのようなブラック控除は無く、法定控除の他は保険などに入っていない場合は特に惹かれることはないのですが、それでも毎月の手取りは三万円ほど引かれて九万に行かない程度です。
社会人の方なら驚くことはないと思うのですが、12万近くもらえると思っていたら実際は9万だったときのショックはなかなかのものです。(私がそうでした)
さらに、ここから毎月の保険料や部費(校友会によって5000~20000円)などが引かれ、実際に手元に残るのは8万円程度です。
上級生は8万円を丸々懐に収めることができるのですが、一学年はここからさらに清掃用具や部屋物品の購入などの雑費でさらに費用がかさむので、最終的にはほとんど手元に残りません。
特に部屋の上級生の誕生月だと、プレゼントの費用で赤字になることもあります。
⑤破格の値段の生命・傷害保険
次に紹介するのは,”破格の値段の生命・傷害保険”という点です。
防衛大学校学生は、全国の自衛隊員が加入する団体保険に加入することができます。
この団体保険は多くの加入者がいるため保険料が安くなっており、月1000円から加入することができ、怪我などの際は最大で200万円ほどの保険金を受け取ることができます。
この保険のすごいところは、なんと親知らずを除去する際にも保険料を受け取ることができるのです。
もちろん自衛隊の病院で取ればタダなので防大生の間では臨時ボーナスと呼ばれています。
さらには障害・生命保険の他にも火災保険なども充実しているので保険に関して問題はありません。
防衛大学校では割と怪我をすることが多いので、保険に入っているとそれらの手当てを受け取れることが多く、入る価値は十分にあると思います。
⑥防大内の病院(医務室)と全国の自衛隊病院がタダで利用可能
次に紹介するのは、”防大内の病院(医務室)と全国の自衛隊病院がタダで利用可能”という点です。
これは以前からちょくちょく述べてきましたが、防衛大学校学生は学生証を兼用する自衛官身分証というものを所持しています。
この身分証を見せると、全国の自衛隊の施設(駐屯地など)に自由に出入りすることができます。
その上なんと、米海軍横須賀基地(通称:ベース)にも自由に出入りすることができるのです!
ベース内ではアメリカ仕様のマクドナルドを使用することができます。
日本円で購入することができ、店員も日本人なので問題なく利用することができます。
話を戻しまして、自衛官身分証と自衛官診療証(自衛官の保険証)を使用することで、全国の自衛隊駐屯地にある病院を無料で利用することができます。
もちろん薬もタダでもらえるのでこのメリットはデカいです。
まあ自衛隊の病院や防大内の医務室を無料で使えるのは事実なのですが、実際には使う機会はほとんどありません。
まず、過去の記事でも述べましたが、防大内の医務室を使用するには多くの手続きが必要で結構時間がかかります。
さらに診察が終わった後にも診察結果の報告や清掃等の代行を立てるなど非常にめんどくさい手順を踏む必要があり、同期にも迷惑がかかるのでよっぽどの時にしか医務室を使うことはありません。
全国の自衛隊病院もタダで使うことができますが、まず防大生は一年のほとんどを防衛大学校内で過ごすのでまず使う機会がありません。
唯一使う機会のある病院は横須賀市にある自衛隊横須賀病院で、防大の医務室では対処できない怪我などの際はここに運ばれます。
夏休みなどの長期休みでも、自衛隊病院は町のはずれにあることが多いのでなかなか使用する機会はありません。
⑦防大生限定の割引適用
次に紹介するのは、"防大生限定の割引適用"という点です。
防大生は多くの金を落とす金ずると思われているのか、防大内外でよく防大生限定の割引が行われています。
まず最初に防衛大学校内での割引について紹介します。
防衛大学校の中にあるファミリーマートでは、常に商品を5%引きで買うことができます。
学生は、防大内で食料品を買うとなるとここしかないので、少しでも安く買えるのは大きなメリットだといえます。
さらに学生会館の地下一階にある郵便局のようなところでは、荷物を通常よりも1000円以上安く送ることができます。
長期休暇の際や退校する際など、まとめて荷物を送る必要があるときに非常に便利です。
次に、防大外の施設での割引について紹介します。
これは本当にたくさんあり、季節によって変わることが多いので私が防大に在籍していた際に遭った割引を紹介します。
横須賀中央駅のデパートである”モアーズ”では、2022年の三月まで防衛大割というイベントが行われており学生はモアーズ内のそれぞれの店で様々な割引や特典を受けることができます。
詳細については下記のサイトからどうぞ
このように、防大生限定の割引は様々なものがあり、外出時にふとそれらの割引を見つけるとちょっと得した気分になります。
⑧タダで留学に行ける
最後に紹介するのは、”タダで留学に行ける”という点です。
防衛大学校からは、毎年多くの学生が世界中に留学に行っています。
留学の期間は、三週間ほどの短期留学から、一年間の長期留学まで様々な種類があります。
防衛大学校の留学の魅力は、なんといっても”タダで留学に行けること”です。
防大生の留学は昔でいう国費留学生のような扱いで、留学にかかる渡航費などをすべて国が負担してくれます。
さらに留学中も給料が支給されるため、学生は海外での学習に専念することができるのです。
しかし防衛大学校の留学には、二つの闇の部分があります。
まず、留学希望者の倍率は高く非常に高い語学力や素行の良さが要求されます。
防衛大学校ではタダで留学に行くことができるので、留学希望者が非常に多いです。
留学に行く生徒の選定には毎年一回行われるTOEICの点数と、学生舎内での生活態度の二つの評価が用いられます。
最初にTOEICの点数についてですが、一般的な防大生の点数が400~500点程度であるのに対し、留学を希望する学生は最低でも700点以上が要求されます。
この基準は希望者の数によって変動し、年によっては800点以上になることもあるようです。
次に学生舎内での生活態度では、各階の指導教官に学生舎内での生活態度を評価されます。
この時、長期勤務学生と呼ばれる小隊学生長付などの役職を務めた経験があると有利になるそうです。
これらの選定を乗り越えて留学に行く権利を勝ち取っても、ここから地獄に落ちることもあります。
なぜかというと、防大の留学では自分で留学先を選ぶことができないからです。
留学生の留学先は防衛大学校によって決められ、全世界の士官学校に留学します。
留学先としてはアジアが多めで、欧米や中東に行くこともあります。
細かい留学先については、下記のサイトからどうぞ
あらかじめ場所の希望を出すことはできるのですが、それが通らないこともザラだそうです。
もし希望していない場所であった場合も留学を断ることができず、ただただ耐え抜くしかないです。
ここまで、防衛大学校学生の様々な待遇について述べてきましたが、このような金銭的な待遇以外にも様々な待遇があります。
この他の金銭面以外のメリットは、実際に防衛大学校に入校すると身に染みてわかると思います。
今回の記事はここまでになります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (4)
K
がしました
これからも投稿楽しみにしてます!
K
がしました